ドッグフードにトウモロコシ不使用が推奨される理由

スーパーやホームセンターで売られているドッグフードの原材料を見ると、ほとんどドッグフードにトウモロコシが使われています。トウモロコシは甘みもありますし、海外では主食に使われることもあるくらい栄養豊富な食材ですので、トウモロコシが使われていても疑問に感じたことはないかもしれません。

ところが、最近はプレミアムドッグフードを中心にトウモロコシ不使用のドッグフードが増えてきました。それだけでなく、トウモロコシや小麦粉などは避けるべきというようなインターネット上の情報も増えています。

ここではなぜトウモロコシ不使用が推奨されるようになったのか、なぜ与えないほうがいいとされているのか、その理由についてご紹介します。

成犬に必要な栄養成分とトウモロコシに含まれる栄養成分

トウモロコシ不使用が推奨される理由についてご紹介する前に、まずはドッグフードの栄養について説明しておきます。ドッグフードに求められる栄養成分とトウモロコシに含まれる栄養成分、それぞれについて見ていきましょう。

ドッグフードに必要な栄養成分

総合栄養食に分類されるドッグフードの多くが、AAFCO(全米飼料検査官協会)が公表した基準に従って作られています。その栄養基準は次のように定められています。

成長期
粗たんぱく質:22.5%
粗脂質:8.5%
カルシウム:1.2%
カリウム:0.6%
ナトリウム:0.3%

維持期
粗たんぱく質:18.0%
粗脂質:5.5%
カルシウム:0.5%
カリウム:0.6%
ナトリウム:0.06%

この他にも細かく決められていますが、人間における3大栄養素のひとつ炭水化物については基準がないのが特徴です。ただし、炭水化物を与えなくてもいいというわけではありません。人間よりは必要な量はやや少なめですが、食事の60%は炭水化物を摂る必要があります。

AAFCOは以下の記事で解説しています

トウモロコシに含まれる栄養成分

次にトウモロコシに含まれている栄養成分について見ていきましょう。ここでは乾燥したトウモロコシの可食部100gについて記載します。

たんぱく質:8.6g
脂質:5.0g
炭水化物:70.6g
カルシウム:5mg
カリウム:290mg
ナトリウム:3mg

ワンちゃんに必要な栄養成分であるたんぱく質も脂質も含まれていますが、それ以上に気になるのが炭水化物量です。炭水化物70.6gのカロリーは282kcalもあり、栄養成分としては不要な炭水化物ですが、カロリー摂取という面ではとても重要な役割を果たしています。

ただ、トウモロコシだけではたんぱく質も脂質も不足しますので、他の食材と合わせなくては総合栄養食とは言えません。実際にトウモロコシを使っているドッグフードは、肉や肉類、大豆製品などを使ってたんぱく質と脂質を補っています。

トウモロコシ不使用がよい本当の理由

栄養成分やカロリーを考えたとき、トウモロコシはそれほど悪いものには思えませんよね。実際にきちんと栄養として役立つと判断されているから使われています。ただ、それは数字の上で役立っているだけで、実際には数字とは違う部分での弊害があります。

どのような弊害があり、なぜトウモロコシ不使用が推奨されるのかを説明します。

犬はトウモロコシをうまく消化吸収できない?

犬は狼から進化した動物ですので、本来はお肉だけを食べる動物です。このため、胃の構造としてトウモロコシをはじめとする穀物の消化があまり得意ではありません。まったく消化できないわけではありませんが、消化吸収に時間がかかります。

このため、せっかく口にしたトウモロコシが吸収しきれずにうんちとして排出されることもあります。これではせっかくのカロリーも栄養成分も無駄になってしまいますよね。排出されるだけならまだいいのですが、体内に留まってしまうと、アレルギーを引き起こすこともあります。

一方でドッグフードメーカーの多くは、トウモロコシなどの穀物でも吸収できるのだから問題ないとしています。これもひとつの事実であり、適量であればトウモロコシを食べても健康被害がでることはありません。ただし、アレルギーのリスクは残ります。

このため、トウモロコシの消化吸収が苦手という部分に関しては、判断が難しいところではありますが、皮膚トラブルなどで悩まされているのであれば、トウモロコシを使っていないドッグフードを選んでおいたほうが安心です。

遺伝子組み換えトウモロコシの危険性

トウモロコシ不使用が推奨される理由として、消化吸収の問題が挙げられることが多いのですが、実はそれ以上に大きな問題があります。それが遺伝子組み換えされたトウモロコシがドッグフードに使われているということです。

アメリカでは、育てやすいように遺伝子を操作したトウモロコシが主流になっています。遺伝子組み換えトウモロコシのほうが収穫量も多くなり、儲けが大きくなるためです。ドッグフードのトウモロコシのほとんどがこの遺伝子組み換えトウモロコシです。

この遺伝子組み換えトウモロコシは安全だというデータもあれば、危険だとするデータもあります。そのため、人間が口にする食べ物に使うときには、遺伝子組み換えであることを明記するというルールがあります。でもドッグフードにはそのルールはありません。

安全か危険かの判断が難しい遺伝子組み換えトウモロコシが、当然のようにドッグフードには使われています。これをどう判断するかは飼い主さんの判断次第ですが、少しでも危険性があるなら、やはり使わないに越したことはありませんよね。

トウモロコシは安くドッグフードを作るために使われている

このように、ワンちゃんにとって適しているかどうかも疑わしく、なおかつ安全性も不透明なトウモロコシですが、もちろんドッグフードメーカーはそのことを把握しています。それでも、ドッグフードメーカーは「犬には負担がない」「遺伝子組み換えは安全」という立場で、トウモロコシをドッグフードに使い続けています。もちろんこれには理由があります。

ドッグフードはメーカーの数もその種類も増えてしまい、今では安くないと売れない時代になってしまいました。他社よりもいかにして安く作るかを考えたとき、価格の高い肉は少なくして、安価で手に入るトウモロコシなどの穀物を多く使う配合を考え出しました。

総合栄養食としてはAAFCOの基準を満たしていれば問題ありませんので、できるだけ安い原材料を組み合わせて数字のハードルをクリアさせています。その中でトウモロコシがとても重要な役割を果たしています。脂質もたんぱく質も含んでいるため、肉の使用量を大幅に減らせるためです。

そのためには、遺伝子組み換えでも安全という立場をとり、犬は穀物を問題なく吸収できると言っています。そうしないと売ることができませんので、当然そのような立場になります。一方で危険性が疑問視されているのも事実ですので、不使用が推奨されているというわけです。

ドッグフードはグレインフリーを選ぶ

ここまでの説明で分かりますように、ドッグフードのトウモロコシに関しては不使用にすべきとしている人もいれば、問題ないとしている人もいます。飼い主さんとしては判断が難しい状態にありますが、少しでも健康被害の危険性があるなら避けたいのが飼い主さんの心情ですよね。

愛犬にとって体に負担が少なく、なおかつリスクの少ないドッグフードを選びたいのであれば、グレインフリーにこだわったドッグフードを選びましょう。トウモロコシだけでなく、他の穀物も使っていないドッグフードですので、リスクはかなり下がります。

ただ、グレインフリーのドッグフードは安価な穀物でかさ増しされていない分、どうしても価格が高くなってしまいます。でも、ドッグフードだって安全性を考えれば人間の食べ物と同じくらいの価格になってもおかしくありません。

スーパーやホームセンターに並んでいる格安のドッグフードは、どう考えても不自然です。ワンちゃんに危険性のある食べ物を与えたくないのであれば、飼い主さんのお小遣いを少し減らしてでも、安全性の高いグレインフリーのドッグフードを買ってあげましょう。

トウモロコシを使ったドッグフードは避けよう

ドッグフードはワンちゃんの健康を維持するための食べ物ですが、必ずしも体にいいものばかりではありません。人間が決して口にすることのない危ないお肉を使っていることもあれば、安全性が不透明なトウモロコシも使われています。

それらは「必ずしも危険とは言えない」という理由で使用が認められていますが、それは100%安全であることを保障しているわけではありません。わたしたちの食事において、格安だけど病気になるかもしれない食材なんて使う人はいませんよね。

ドッグフードにおけるトウモロコシは、まさにそういう位置づけにあります。食べると必ずしも健康被害が出るわけではありません。でも、どこかに異変が出る確率は上がります。その確率を少しでも下げてあげることが飼い主さんの役割でもあります。

グレインフリーのドッグフードは価格も高く、なかなか手を出せないかもしれませんが、愛犬の健康を考えるなら決して無駄な支出ではありません。グレインフリーとはいかなくても、少なくともトウモロコシを使ったドッグフードは避けるようにしてください。