ドッグフードのパッケージに記載されている原材料の欄に「ビートパルプ」とあり、どんな物なのかインターネットで調べたことのある飼い主さんもいるかと思います。
検索した結果、「危険」「与えてはいけない」という内容の記事が多く、これまでビートパルプの入ったドッグフードを与え続けてきた飼い主さんは不安になったのではないでしょうか。
しかし、実際のところビートパルプは本当に危険で、犬に悪いのでしょうか?
そもそもビートパルプとはどのような原材料で、なぜ使用されているのでしょう。
ここでは、そんなドッグフードに含まれているビートパルプの基礎知識と安全性についてご紹介します。
この記事の目次だワン
ビートパルプとは
ビートパルプとは、テンサイから砂糖を取り出した残りカスを加工したものです。
テンサイから絞られた砂糖を私たちは口にしているのですが、実はテンサイには食物繊維が多く含まれているます。
そのため、砂糖を取り出した残りとはいえ、捨てるのにはもったいないから、加工して家畜の餌やドッグフードなどのかさ増しとして使われています。
もし、ドッグフードの原材料の上から5番目以内にビートパルプが含まれていたら、それはかさ増し目的で使われていると考えて構いません。
かさ増しの材料とはいえ、食物繊維が豊富だと体に良さそうなイメージがありますが、犬にとってはどうなのでしょうか。
ビートパルプ入りフードは犬に与えない方が良いの?
ビートパルプは食物繊維が豊富で腸内環境に良さそうですが、そもそも犬は食物繊維を積極的に摂る必要はありません。
鮮度のいい安全性の高いドッグフードを与えていれば、食物繊維がなくても腸内環境は整うからです。
そのため、犬にビートパルプを与える必要性が全くないのです。
プレミアムドッグフードと呼ばれる、良質なドッグフードの多くがビートパルプを使っていないことからも、必要のないものであることが分かります。
とはいえ、化学化合物などではなく植物から作られている製品ですので、安全性はとても高そうに思われます。
なぜ、ビートパルプが危険だと言われているのでしょうか。
ビートパルプが犬にとって危険だと言われる理由
テンサイから作られるビートパルプは、一見ヘルシーで安全なように思えますが、中にはとても安全とは思えないようなビートパルプが存在ます。
危険なビートパルプとは以下のようなものです。
- 多量の食物繊維で体調が悪くても軟便になりにくい
- 砂糖を絞るときに使う劇薬が残留している
- 農薬が残留している
このようなビートパルプを使ってかさ増しされているドッグフードがあるため、危険視されています。
多量の食物繊維で体調が悪くても軟便になりにくい
ビートパルプは食物繊維ですので、摂取すると腸内や便の水分を吸収します。
このため、ビートパルプが含まれたドッグフードを与えると、下痢になりにくく、うんちの処理がしやすいというメリットがあるのですが、そもそも下痢になるのは、体のどこかに異変があるためです。
下痢にならないということは、体調不良のサインを見逃してしまうことになります。
さらに、犬によっては便秘になってしまうこともあります。
食物繊維だから快便になると思われがちですが、便通が良くなるのは食物繊維の中でも水に溶けない不溶性繊維で、ビートパルプは水に溶ける可溶性繊維です。
食物繊維が多いので、良かれと思って与えた結果、病気に気づくのが遅れたり、便秘になったりすることがあるというのも覚えておきましょう。
砂糖を絞るときに使う劇薬が残留している
テンサイから砂糖を作る方法は圧力をかけて絞る方法と、硫酸などの劇薬をかけ溶かして絞る方法の2つがあります。
硫酸を使って生成される砂糖を私たちは食べているのか?と驚くかもしれませんが、国が認めた安全な製法で作られているので砂糖を食べても劇薬が体内に入ることはありません。
問題なのは、これらの劇薬が残りカスから作ったビートパルプに残留している可能性があるということです。
残留量が微量なので危険はない
ただし、残留量が極微量であり、安全基準も設けられているため、犬にビートパルプが入ったドッグフードを与えても安全であるという意見もあります。
ドッグフードメーカーは、それを根拠にビートパルプを使っていますので、どのメーカーも「問題ない」としているのです。
さらに、すべてのビートパルプに劇薬が使われているわけではありません。
前述しましたように、圧力のみで絞ったカスから作られたビートパルプには劇薬が残留することはまずありません。
とはいえ、果たして愛犬に食べさせているドッグフードに劇薬が使われたかどうか定かでない原材料が入っているは不安ではないでしょうか。
農薬が残留している
ビートパルプは残留している劇薬ばかりが取り上げられますが、実はもっと心配すべきポイントがあります。
それが海外で作られたテンサイの残留農薬です。
国内で作られたテンサイは、安全基準を満たしていますが、海外産テンサイには日本で使用が認められていない農薬も使われています。
さらに、海外のテンサイのほとんどが遺伝子組換えを行われています。
こちらも日本では栽培が認められていませんが、遺伝子組換えされたテンサイは農薬への耐性が強く、大量の農薬を使って栽培されています。
その結果、ビートパルプも農薬まみれになっている可能性があるというわけです。
こちらも、可能性があるということだけですが、無農薬のビートパルプがドッグフードに使われることは無いので、飼い主さんとしては、しっかりと頭に入れておく必要があります。
できるだけビートパルプ無しのドッグフードを選ぼう
かさ増しという理由だけで、健康を害する恐れのあるビートパルプ。
食物繊維が豊富とはいえ、犬にとっては不要なものなのですから、できるだけ避けておきたいところです。
毎日食べるドッグフードは、価格が多少高くてもビートパルプを使っていない安全性の高いプレミアムドッグフードを選んであげましょう。