犬の寿命からみたとき、人間の残り物を食べていた頃の犬の平均寿命は6歳ぐらいです。
現代のドッグフードで飼育されている犬の平均寿命は14歳ぐらいですから、7歳以上も寿命が延びたことがわかります。
昔は交通事故やフィラリアという病気も多く、犬が長生きしづらい環境にありました。
ただそれを差し引いても、人の残飯は飼い犬の寿命を短くし、現代のドッグフードのほうが愛犬の長寿に貢献していることが容易に推定できます。
では、残飯の何がいけないでしょうか。
ここでは愛犬の健康を維持するために、犬に残飯を与えてしまうことでどのような問題が発生するのかについて詳しくご紹介します。
この記事の目次だワン
人間の食べ残し(残飯)を犬に与えても大丈夫?
犬に残飯を与えてもほとんどの場合問題はありません。
しかし「人間が食べるものを犬に与えてはいけない」というのが最近の常識となっています。
なるべく与えないほうがいいというのは間違ってはいませんが、その理由としていくつかの誤解があります。
どのような誤解があるのか、そしてそれらを与え続けるとどうなるのかについて、ここでは詳しくご紹介します。
また、残飯を与えるときには以下のようにいくつか注意点があります。
犬に残飯を与える際の注意点
- 塩分の過剰摂取
- 犬にあげてはいけない食べ物を把握する
- 添加物に気をつける
- 栄養バランスは悪い
塩分は大量に与えなければ問題なし
最も代表的な食べ物に関する誤解が「犬に塩分を与えてはいけない」というものです。
飼い主さんの多くはそう信じ込んでいますが、これは全くの間違いです。
正しくは「犬は塩分が少なくても生きていける」ということに過ぎず、普通に与えて全く何の問題もありません。
また、「塩分が多いと腎臓に負担がかかる」と主張する方も多いようですが、健康な犬で十分な水分をとっていれば塩分は排泄され体内に残ることはありません。
同様に、「汗腺が足襄にしかないので塩分が必要ない」というのも誤った情報です。
腎臓病でナトリウム排泄能力を失っている場合などを除いては、減塩は不要です。
最近では、むしろ塩分を控え過ぎて活力のない犬をよく見かけます。
適度な塩分を与えると、体がシャキッとして元気を取り戻すケースもよくあります。
私たち人間と同じように、しょっぱ過ぎない程度に塩分を与えることは、全く問題ありませんが、与えすぎ(毎日)には注意してください。
犬にあげてはいけない食べ物を把握する
今でもよく思い出すのですが、小学生のときに飼っていた雑種犬のシロが、ある日突然血尿を出したことがありました。
1日ぐらいで治ってしまうので気にしていませんでした。
当時はドッグフードもなかったので、毎日、味噌スープとご飯、たまにお肉と牛の大きな骨をよくあげていました。
ご飯の炭水化物は肉食獣には必要ありませんでしたが、生きる上でのエネルギーにはなります。
味噌は発酵食品で塩分はよくないということはわかっていましたが、消化を助け、添加物もなく病気もせずに元気だったため与え続けていました。
何でも食べる子で、特にカレーライスやハンバーグが好きでした。
しかし、そこにタマネギが入っており、それで血尿を出していたなんて、今思えばかわいそうなことをしてしまったのだと反省しています。
そんな私が言うこともなんですが、本当に家族の一員と思うなら、人が食べられないものをペットに与えないことです。
といっても手作りフードは塩分量を調整できますし、添加物を使わないなどの工夫はできるので問題ないのですが、コンビニ弁当や加工食品は、危険な添加物がてんこもりで、何が起こるかまったく予想ができないので注意した方がよいでしょう。
たまねぎ・ネギ | 犬猫に有害な成分が入っており、血尿や下痢、嘔吐、発熱が起こる。 |
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ぶどう・干しぶどう | 腎不全の原因になる。特にぶどうの皮は与えないようにっする。 |
キシリトール | 少量で血糖値の低下や嘔吐、肝不全を起こす。 |
香辛料 | 肝臓障害の症状がでる。 |
鶏の骨 | 鋭利な形状のため器官を傷つける可能性がある。 |
魚介類(生魚、イカ、タコ) 甲殻類(カニ、エビ) | 消化が悪く下痢や嘔吐、詰まりの原因になる |
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ほうれん草 | シュウ酸カルシウム尿石症の原因になる。茹でてアク抜きが必要 |
生の豆やナッツ類 | 消化に悪く下痢や嘔吐の原因になる。豆腐や納豆はマグネシウムが多く結石になりやすい。 |
チョコレート | 嘔吐、下痢、発熱、痙攣を引き起こす。 |
コーヒーや紅茶、緑茶 | カフェインが原因で下痢、嘔吐、体温不調、多尿、尿失禁、テンカンの発作をおこすことがある。 |
生卵 | 皮膚炎、成長不良の症状を引き起こす。加熱すれば問題ない。 |
砂糖 | ビタミンB1欠乏症やカルシウム不足の症状を引き起こす。 |
にぼし、海苔 | マグネシウムの過剰摂取により尿路疾患を引き起こす。 |
米飯 | 成長不良、肥満症状の原因 |
危険の度合いは食べ物によって違いますが、万が一以上のものを口にしてしまった場合は、獣医に相談し適切なアドバイスをもらうようにしましょう。
すぐに症状が出る場合や、数日後に症状がでることもあります。
添加物に気をつける
先程、塩分の大量摂取や、犬に与えてはいけない食べ物に気をつければ残飯を愛犬に与えても問題ないという説明をしましたが、それは家庭で出る食べ残しのことです。
お店などで販売されている食品には少し気をつける必要があります。
なぜなら家庭料理と違い、保存料などの添加物が使用されているためです。
その例として、数年前に期限切れのコンビニ弁当を残飯業者から入手した北九州の養豚場で、1頭の豚が1日3kgの廃棄弁当を食べたところ、200頭の繁殖豚が流産するという事件が起きました。
2002年ごろ、福岡県内の養豚農家で あるコンビニの弁当やおにぎりを母豚に毎日3キロずつ与えたところ、 豚の妊娠期間である114日後のお産で、死産が相次ぎ、やっと生まれた子豚も、 奇形だったり虚弱体質ですぐに死に、透明なはずの羊水がコーヒー色に濁っていたという。
与えたコンビニ食は、回収業者が持ち込んだもの。
期限切れとはいえ、腐っているわけではなく、 農家の主が「ちょっとつまもうか」と思うほどの品だった。
当初の目的は月20万円のえさ代を浮かせることだった。My News Japan
このようなことが愛犬に起こらないとは言い切れません。
ペットフードをやめ、手作りフードを与えることは否定しませんが、できるだけ自然食を選び、添加物の入った加工食品は避けた方がいいでしょう。
栄養バランスが悪い
冒頭で人間の残り物を食べていた頃の犬の平均寿命は6歳ぐらいということをお伝えしました。
残り物なので犬に必要な栄養バランスが整っていたとは到底思えませんよね。
昔は、人間ですら現代のようにしっかりと栄養バランスを考えた食事がとれていたとは言えませんので、犬はさらに栄養状態が悪かったと考えるのが自然です。
残飯を与えていたら犬の寿命が短くなる理由
残飯を与えると寿命が短くなりやすいということは理解できたかと思いますが、それではなぜ残飯によって犬の寿命が短くなるのでしょう。
日本犬と欧米犬とでその理由が違いますので、それぞれの理由を見ていきましょう。
欧米犬が残飯で短命になる理由
欧米犬(洋犬)は主に狩猟や牧畜といった肉が十分に食べられる環境で生活をしていました。
その結果、大腸が短くなり、肉などのタンパク質の吸収に適した体をしています。
反対に穀物を与えられることがほとんどなかったため、穀物から栄養成分を吸収するがとても苦手です。
このため、欧米犬を日本の食事の残りで飼育すると栄養欠損を起こします。タンパク質が少なすぎるのです。
日本の食事の残り物で飼育されていた洋犬がとても短命だったり、虚弱だったりするという話をよく聞きますが、これが一因と考えられています。
日本犬が残飯で短命になる理由
日本犬は、日本人と長く生活してきたため日本人の食生活にかなり適応しています。
欧米犬(洋犬)に比べて、穀類が消化できるよう大腸が長いという特徴があります。
では、腸が長い日本犬は、日本食の残り物(残飯)で長生きしていたのでしょうか。
日本犬といっても柴犬、縄文柴犬、秋田犬、甲斐犬、紀州犬などいろいろな種類がいますが、実際は洋犬ほどでないにしろ短命でした。
日本でも犬は、狩猟犬として江戸時代からずっとクマ、イノシシ、鹿、タヌキ、キジ、カモなど狩りの獲物の肉や骨を大量にとり続けていました。
しかし、日本は農繁期は農業に専念していましたので、狩猟は西洋ほど盛んではなく、狩りをしない期間は穀物食でも体を維持できる構造に日本犬の大腸は進化したと考えられます。
日本犬は、「農業がヒマな時期は狩りに行き、獲物の肉をお腹いっぱい食べられる」そういう生活だったわけです。
ですから洋犬ほどではないにしても、穀物ばかりの残飯では栄養欠損が生じ短命になると考えられます。
ご飯が余ってもったいない!残飯を食べさせる場合のポイント
残飯を与えることはあまりおすすめできませんが、ちょっとした工夫をすることで余ったご飯などを与えることができるようになります。
タンパク質を補うことで残飯を食べさせることができる
私たち日本人の食事は穀物である炭水化物が中心です。
このため、そのまま残飯だけを食べさせると犬にしてみればタンパク質不足の状態になってしまいます。
これが残飯を与えると短命になる最大の理由ですので、単純にタンパク質を補ってあげれば問題は解決します。
与えるご飯は量に気をつける
ただし、気をつけたいのは炭水化物もタンパク質もカロリーが高いということです。
きちんと量を考え与えないと簡単に肥満犬になってしまいますので、カロリーコントロールもしつつ必要なタンパク質を与えるようにしましょう。
犬種別!残飯を与える際のポイント
タンパク質を補うことができるなら犬に残飯を与えてもいいと説明しましたが、細かなことを言えば、犬種によって最適なタンパク質が違います。
また犬種によっては穀物がNGということもありますので、ここでは犬種ごとの食事のポイントをご紹介します。
プードル・トイプードル
水辺で猟師が撃ち落とした烏の回収、フランスでカモ狩りに使われていた猟犬です。
肉類をたくさん食べてきた犬種なので、不調や栄養不足のときには、カモや鶏などの烏肉を食事にプラスしましょう。
チワワ
メキシコの暖かい土地の犬が小型化されたのがチワワです。
食事不足に弱く、低血糖が原因でよく命を落とします。
チワワはフードを一日に回数を多く与えるのを基本とします。
ショーに出すのでなければ、ふくよかなくらいが健康を維持しやすいと考えてください。
エネルギー消費量が大きい犬種ですので、ドッグフードはカロリーが高めのものを選ぶとよいでしょう。
また、トッピングは脂を多く含む皮つきの鶏肉や、適度に脂肪を含んだ肉を使われることをおすすめします。
ササミなどの脂が少ないものより、適度に脂肪を含んだ肉をトッピングするのがポイントです。
痩せすぎの子には特にそうです。ただし、まるまると太った子には脂肪が少な目の肉のトッピングで。
ダックスフンド
先祖犬が狩猟犬(ジュラハウンド)なので肉(動物性タン・ハク質)を多めにします。
過去の歴史をみても狩猟犬との交配が多く、大腸が短くて穀物の消化が弱いため野菜(双子葉植物)や穀物主体のフードを与えないようにしてください。

ラブラドール・レトリーバー
足に水かきがあるカナダの水難救助犬ニューファンドランド犬とセント・ジョンズ・ウォーター・ドッグの交配により作出された犬種です。
鱈漁(タラりょう)で活躍していたため、体調不良時には鶏肉と魚を与えるとよいでしょう。
日本犬(柴犬・秋田犬・甲斐犬など)
古代犬の一つで、縄文時代から飼育されており、ヤマドリ・キジなどの烏、ウサギなど小動物の狩猟に使われた狩猟犬です。
このため、ときどき鶏肉を好きなだけ食べさせるだけで、タンパク質不足を補うことができます。
また日本食の影響で、魚が必要な犬種でもあります。
認知症を起こす犬の半数が日本犬(ほとんど柴犬)という報告がありますが、魚に含まれる栄養成分であるDHAやEPAを摂取することで、認知症が改善されると言われています。
ここでも犬の歴史や成り立ちを尊重することが重要ということがわかりますね。
日本犬の風貌(茶の毛色や中ぐらいの大きさ)をしたミックス犬であれば、魚、鶏肉、牛肉の3種をローテーションでトッピングするのがおすすめです。
愛犬の寿命を延ばすには残飯ではなく総合栄養食を与える
昔とは異なり、現在では栄養をしっかりと摂取できる総合栄養食のドッグフードがあります。
しかしそのドッグフードも、出始めは原因不明で死んだ動物の肉が使用されていたりと健全な食べ物とは言えないものばかりでした。
そして、今でも市販で販売しているドッグフードの中には残念ながらまだ添加物などが多く含まれるドッグフードが並んでいます。
ドッグフードにも良し悪しがある
犬用の食事とはいえ不安な原材料が使われていることが徐々に広まり、日本ではペット先進国と呼ばれる国から安心安全なドッグフードの輸入販売が始まりました。
しかし、原材料も高く輸送コストを考えると1kg5,000円以上とかなりの高額なドッグフードになってしまい、毎月の食事費用を考えると購入を躊躇してしまうのが現状です。
そこで、国産の原材料を使用し国内で製造されたドッグフードも誕生しました。それが国産プレミアムドッグフードです。
おすすめの国産プレミアムドッグフード
例えば犬に必要な栄養素が摂れるドッグフードのひとつに「自然派わんこの厳選ごはん」というものがあります。
無添加で原材料の半分以上がお肉で構成されており、お肉に熱をあまり加えない独自製法によって、肉本来のビタミンなどの栄養素やうまみ成分を残すように工夫されています。
他にも腸内環境を整える乳酸菌や足腰に良いグルコサミンも配合されているため、愛犬の健康をサポートできるおすすめのドッグフードです。
この高品質で1kg2,980円(税別)と輸入品のプレミアムドッグフードに比べると低価格となっています。
公式サイトはこちら
愛犬に長生きしてほしいなら残飯は与えない
犬の食べ物に関しては「塩分を与えてはいけない」などの誤解がありますが、それは「塩分がなくても問題ない」という認識であり、与えてはいけないということではありません。
適度な塩分は愛犬の活力にも必要なこともあるので、過度に与えてなければそこまで神経質になることはないでしょう。
問題は、人間の食べ物の中に、タマネギなどの与えてはいけない食べ物が含まれていることや、カロリーが高く肥満になってしまうことで健康に害がでてしまうという点です。
余ってもったいないからと言って、人が食べられないような残飯は決してあげないようにしてください。
そして犬はもともと猟犬や牧羊犬など狩りをしていた動物なので、動物性タンパク質を必要とする場合が多いと覚えておくとよいでしょう。
しかし愛玩犬としての伝統を長く持つ犬種は、比較的に穀物が多くても適応性が高いといえます。
また日本犬は、洋犬よりは動物性タンパク質不足に耐えられますが、時々鶏肉や魚を好きなだけ食べさせることで健康維持するようにします。
近年ではドッグフード先進国と言われる国を筆頭に、ドッグフードの質はどんどん向上しており、犬の平均寿命が昔に比べて2倍程度に伸びているのはそのためでもあります。
愛犬にもっともっと長生きしてもらうために、愛犬の食事で取るべき必要な栄養素を理解することからはじめてみましょう。